トゥーランドット, G. プッチーニ
2015年夏シーズン、カラカラ浴場(Terme di Caracalla)では、巨匠プッチーニの作品の数々が上演されるが、「トゥーランドット」は、ローマオペラ座のオーケストラとコーラスが新しい舞台を披露する。「トゥーランドット」はジャコモ・プッチーニ作曲、ジュゼッペ・アダーミとレナート・シモーニがイタリア語台本を手がけた3幕のオペラである。
「トゥーランドット」は、プッチーニの死後(フランコ・アルファーノが完成)1926年4月25日、ミラノスカラ座で初演された。
主人公の「トゥーランドット王女」という名前はペルシャに起源があり、「トゥーランの娘」の意味。トゥーランは、ペルシャ帝国の一部をなす中央アジアの地域である。このオペラはペルシャの詩を基にしている。偉大な詩人ニザーミーのこの作品を、フランソワ・ペティ・ドゥラクロワは、もともとのロシアの王女を冷酷残忍な中国の王女にかえて、Les mille et un jours(1710-1712, 千一日物語)に入れた。この物語を題材として、カルロ・ゴッツィが悲喜劇を書き、それをドイツの詩人フリードリヒ・フォン・シラーが翻案した。プッチーニの「トゥーランドット」の台本はシラーの作品のイタリア語訳の上に書かれている。
「トゥーランドット」はイタリアで、また世界中で最も人気があり、最もよく上演されるオペラのひとつである。プッチーニの作品としては「ラ・ボエーム」「トスカ」「蝶々夫人」に次ぎ、4番目によく上演されている。
音楽的には第2幕が特に見どころである。ソプラノの役は、高音域とワーグナーを思わせるタッチで、特に難役であり、テノールとソプラノの対比も見逃せないも。第3幕では有名なアリア「誰も寝てはならぬNessun Dorma 」が光る。このアリアは、ミゲル・フレータ、ユッシ・ビョルリング、マリオ・デル・モナコ、ルチャーノ・パヴァロッティらによって歌われてきた。
舞台は何世紀も前の中国、残忍な王女トゥーランドットをめぐって物語が繰りひろげられる。王女は、先祖の一人に復讐するため、求婚者に3つの謎を課し、求婚者がその謎を解けない場合は斬首することにしている。身分を隠した王子カラフはその謎に正しく答え、代わりに王女に自分の名前をあてるように言う。トゥーランドットは、この求婚者の名前がわかるまで、北京では誰も寝てはならぬという命令を下す。多くのむごたらしいシーンの後、このオペラはハッピーエンドで終わり、心に強い余韻を残す。