道化師、R.レオンカヴァッロ
![道化師、R.レオンカヴァッロ](https://romeoperatickets.com/img/gallerybig/thumb_10687.jpg)
劇中劇という手法は、優れたストーリーテラーが好んで使うものですが、ルッジェーロ・レオンカヴァッロは、この手法をオペラ「道化師」に用いて、大成功を収めました。音楽も脚本もレオンカヴァッロが手がけたもので、1892年5月21日、ミラノのダル・ヴェルメ劇場で初演され、聴衆に強い印象を与えました。このオペラは、ピエトロ・マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」に呼応するような形で書かれ、一方が不幸に終わる三角関係、リアルタイムで展開するストーリー、強い演劇性と忘れられない曲調の音楽で、「カヴァレリア・ルスティカーナ」の流れを踏襲しています。この2つの作品に共通点が多いことから、多くの劇場で2作品の同時上演が行われています。けれども、今回ローマ歌劇場は、レオンカヴァッロの最高傑作である「道化師」のみを上演することで、この作品にスポットライトを当てます。
カラブリアの村にやってきたコメディア・デッラルテの一座。その夜の公演を控え、地元の人々は座長カニオを、彼の妻ネッダがハンサムな俳優トニオと浮気しているのではないかとからかいます。カニオは、その冗談を一笑に付しますが、ネッダが実は村人シルヴィオと浮気をしていることを知りません。ところが、公演の準備が進むにつれて、カニオが疑惑を深めていくようなことが起こります。問い詰められたネッダは不倫を認めますが、夫の復讐を恐れて不倫相手の名前は明かしません。本番中、カニオはネッダへの憤りをを募らせ、道化師たち(イタリア語ではタイトルの「Pagliacci パリアッチ」)による軽快なはずのパフォーマンスが、家族の悲劇に発展していきます。
レオンカヴァッロは、すれ違う愛情のたて糸、横糸を見事に織り込み、このオペラを衝撃的なラストへと導きました。このダイナミックなアクションを支える構成は、実に見事です。カニオ、トニオ、シルヴィオ、ネッダが劇中劇の内外で繰り広げる複雑な人間関係の中で、現実と芸術が融合し、手に汗握る物語になっています。ローマのコスタンツィ劇場で、この緊張感を味わってください。